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ヴォクソール クリーマー (1755‐60年頃)
A Vauxhall Creamboat C.1755-60





 ヴォクソールのクリーマー。横長で胴体には縦縞が型どられている。四角い取っ手は先端が少し上に伸びている。ヴォクソールによく見られる形状の一つ(ウースターから影響を受けた形状だと考えられる)で、特にソースボートに多いのだが、本品はかなり小さめのサイズであり、用途はクリーム差しだと思われる。

 絵付け装飾は、胴体に釉薬下の青で東洋風の樹木と花それに垣根が、また内側には格子図柄の縁模様が描かれている。ヴォクソールの釉薬下の青は、'sticky blue'と呼ばれる粘性の感じられる明瞭な青であることが多いのだが、本品では少し異なっており、薄めの色合いで描かれている。

 本品は、ヴォクソール中期(1755-60年頃)の作品と分類されている。この時期の作品の8割以上がブルー&ホワイト作品だとされており(下記Speroの論文による)、多様な形状・絵付けのものが見られるが、本品も小品ながらその一端を示す作例である。


長さ(Length): 10.7cm
マーク: なし
Marks: None
参照文献/References
-ECC Exhibition Catalogue"Ceramics of Vauxhall 18th Century Pottery and Porcelain" (2007) cat.90
-Simon Spero "Vauxhall Porcelain - A Tentative Chronology" ECC Transactions Volume 18 Part 2 (2003) figs.13 & 47
-Nicholas Panes "British Porcelain Sauceboats of the 18th Century" (2009) Figs.279 & 280 (for painting)
-Geoffrey A. Godden "Godden's Guide to English Blue and White Porcelain" (2004) Plates 224 & 225


(2020年11月掲載)